入学式の日、少し遅めに登校したら職員室に来るように言われた。
私は入学式には出席しないからだ。
担任の先生とは別の職員に教室に案内された。
前年に過ごした教室と同じ教室だ。
黒板には座席表が出席番号に照らし合わせてチョークで書いてあった。
1・2・3・4・空・5・6…
自分の席がどこだか直ぐに分かった。
私はそこに座っていた。
少し緊張していた。
煙たがられるのが目に見えているからだ。
「どういう反応をされるだろう…」
次第に廊下が騒つく。
入学式が終わって新1年生が教室に帰ってきた。
怪訝そうな表情で私の方を見る。
とりあえず、前後に挨拶。
「俺、留年だけどよろしく」
「は、はい…」
完全に引きつっている。
入学早々災難だ、という顔だ。
パッと横を見ると、見たことある顔があった。
彼は同じ小学校、同じ中学校だったのではないか?
話をしたことはなかったが、直ぐに分かった。
しかし彼にとっては悪いイメージしかなかったようで、目が合った瞬間に顔を隠された。
この10年、一緒に会社を創ってきた役員との出会いである。
彼がいなかったら、今の自分はない。
そして、この時周りで引きつっていたクラスメート達が人生の友となる。