事業を立ち上げると私は現場にいた。
お客様の情報システム部門にSEとして常駐していた。
前職から引っ張ってきた同僚と孤軍奮闘した。
先輩から学ぶことも外部研修に行くことも出来ず、手探りの日々。
我々は社外に教えを乞うことにした。
まず辞めた会社に電話をした。
「君は図々しいね。驚いた。一度きりにしてくれ。」
必死の思いで食い下がって何とか問題を解決。
次にコンぺ相手に頭を下げた。
苦笑いされたものの、快く教えてくれた。
そして、私はあることに気がついた。
「こんな最高の教材はない」
早速、私はお客様に交渉を行った。
大手企業であるお客様先には様々なベンダーやコンサル企業が毎日来訪している。
商談を見せてもらえないか。
翻訳者としての付加価値を出せば会議に出席しても良しとの回答を頂いた。
難しい話を分かりやすく説明することは大変重宝された。
お客様側の立場で会議に参加することに成功し、各社の仕事の進め方を目の当たりにした。
しかもお客様の感想まで聞けた。
私は社外の先輩が沢山出来た。
人脈作りをしている自覚は全くなかったが、向上心と好奇心から自然とそうなった。
ある時、尊敬する先輩にどうやって今のキャリアを積んだのかを聞いた。
すると、彼はこう言った。
「自分の年には君は経営者として活躍してると思うよ」
私の中に何かが芽生えた。