2017年6月8日17時17分、臍帯血移植が完了した。
胸のカテーテルから僅か1分の輸注。
医師、看護師と家族が部屋に並ぶ。
心電図モニターを着け、抗アレルギー薬・補液・免疫抑制剤を点滴しながらの輸注。
上半身裸だ。
入院生活で弛んだ身体が恥ずかしいが、今は御構いなしだ。
生まれ変わる記念日という事で家族に揶揄されながらも自撮り棒で撮影した。
この1分のために25日間入院し、準備を整えてきた。
入院後は検査の連続。
10日前からはドナーさん待ちで前処置開始。
ドナーさんから移植出来ないトラブルはあったが、身体的には至って順調に進んできた。
心配された感染症にも未だかかっていない。
体重も殆ど減ってない。
足腰も毎日頑張って歩いたので、それ程弱っていない。
ただ、この数日は辛かった。
一昨日には1日で大量抗ガン剤投与を行った。
アルケランとフルダラという薬だ。
特にアルケランはシンドい。
胃と腸の粘膜が全てやられる。
吐き気も結構強い。
身体も怠い。
その状態で昨日は全身に放射線を浴びた。
既に40グレイ当てている私は、10年先の二次発癌を許容せざるを得ない線量に至ってしまった。
でも、10年生きられれば今は御の字だ。
10年先はきっと選択肢が広がっている。
今を生きたい。
放射線は全く痛くないが、やはり全身大ダメージを受けるので、吐き気や怠さが増す。
身体が火照る。熱い。
熱を測ると全く無い。
先生は安堵していたが、私は不快だった。
そして今日。
午前中、愛知から臍帯血が運ばれてくる。
昼過ぎには無事に届いた。
マイナス190度からの解凍を行うとのことだ。
17時頃の輸注が決まった。
私はもはや血が作れない身体。
輸注に備えて赤血球の輸血が行われた。
私はB型。
赤血球の輸血はO型。
血小板の輸血はAB型。
臍帯血はA型。
医学はよく分からないが、移植元と先の血液型の組み合わせで、輸血の組み合わせが変わるらしい。
そして、私は生着後A型に生まれ変わる予定だ。
生着には凡そ三週間かかる。
恐らく、明日以降に発生する拒絶反応との戦いだろう。
すでに身体が痺れる。下痢にもなりそうだ。
敗血症と脳炎にならないように、厳しい環境下で律さなくてはならない。
1日歯磨き5回、うがい8回、小さなキズが命取り。
爪を切るのも怖い。
煎餅食べるのも怖い。
耳掻きも出来ない。
吐き気、怠さ、火照り、下痢、痺れ、浮腫みと付き合いながら。
これから更に40度前後の発熱と大湿疹が予想される。
同じ病棟の先輩達は皆肌がボロボロだ。
まだ食事を完食出来て、運動が出来ているのが奇跡。
この状態が約1ヶ月続く。
蜘蛛の糸を辿る。