2017年5月30日。
移植の日が決まった。
GWが過ぎたら、入院して大量抗がん剤投与を行う。
目的は免疫の破壊。
自分の免疫を全滅させて、ドナーの免疫を点滴で入れる。
抗がん剤の副作用に加えて、拒絶反応に耐えなくてはならない。
5人に1人は1年以内に亡くなる荒治療だ。
しかし、私が完治するためには、一択なのである。
私はチャレンジすることに決意した。
ドナーが見つかったと聞いてからは早かった。
先生には油断できないと聞いていたが、心配とは裏腹にすぐに決まった。
どうやら若い方が移植に応じてくれたようだ。
法律の壁があり、ドナーの個人情報は一切提供されない。
しかし、立派な方だなと思う。
自分だったら、そのような依頼を受けられただろうか。
そもそも私はドナー登録すらしていない。
それなのに、助けていただくことが自分勝手で図々しいように思える。
ドナーの方にも一週間ほどの入院が必要だ。
大事なお仕事やもしかしたらデートの約束を調整して挑んでいただいているのかもしれない。
見ず知らずの他人の為に。
私は社会観を見直さなければならない。
性格的に奉仕の精神より敵対的意識が強い。
他人より先に何かを成し遂げることに強いモチベーションを感じるからだ。
自己顕示欲が強いのだろう。
しかし、私は今回のことで、見ず知らずの若い方に生命を分けてもらうことになる。
元気になったら自分の生命を大事にして、社会に恩返しをしなければならない。
感謝の念しかない。