寛解となって3ヶ月が経とうとしていた。
私は不安ながらも定期検査を受けに病院へ向かった。
この3ヶ月、自分なりに対策は講じてきた。
しかし、病気は甘くなかった。
気管の分け目直下に2cm大の腫瘍が見つかった。
先生の話では抗ガン剤では、もはや快復不可能とのことだった。
私に残された選択肢はドナーを探して骨髄移植を試みるのみだという。
今、世間を賑わしているオプジーボという新薬を試す価値はあるが、完治は望めないとのことだ。
また、オプジーボを一度行うと骨髄移植後の生存率が著しく低下する。
ゆえに、骨髄移植一択なのである。
もし、骨髄移植を望まないとなると延命治療となる。
永遠に抗ガン剤を投与しながら腫瘍をセーブし続ける必要がある。
腫瘍がもし、今後5cm大にまで成長してしまったら、それは死を意味する。
医学的に手のつけようがなくなるらしい。
初期の12cmは治せても、現在の5cmは致命的なのだ。
骨髄移植は現在通院している病院では出来ないらしい。
某国立病院へのセカンドオピニオンを薦められた。
私は妻とすぐさま話を聞きに行った。
結局、治療方針に関しては全く変わらなかった。
他の権威に対してセカンドオピニオンを求めたが、その先生は某国立病院へと移動予定であり、判断は同様とのことだった。
私は骨髄移植に関しての説明を求めた。
わかったことは次の通りである。
・ドナーを探さないといけない
・ドナーを探すには日本骨髄バンクに登録が必要
・登録のためにはHLA検査という白血球の血液検査(実施済み)が必要
・HLAの型は全部で6種類ある
・全てがぴったり合っても移植後一年間の生存率は80%
・一つ型が下がると生存率が25%くらい下がる
・親(60歳未満)か兄弟(異母不可)は生存率が高い
・私は骨髄バンクから検索するしかない
・私の型に合う人は48万人中11人(やや少ない)
・11人が誰なのかは知ることが出来ない(お礼や交渉も不可)
・11人の誰かが応じてくれないと移植が出来ない
・平均的に5ヶ月くらいはかかる
・国立病院では治療の成功率が92%とやや高め
・移植までに胸の腫瘍をなくさないと移植後に再発する可能性が上がる
・移植には3〜4ヶ月の入院が必要
・移植後は社会復帰に半年〜1年かかる
・生き延びれば完治する可能性はある
・医者も無理には薦めない(説明だけして判断は自分でというスタンス)
私は移植を受けることにした。
早くて夏頃、それまでは入退院を繰り返して、とにかく胸の腫瘍をコントロールする必要がある。
去年の7月に5年生存率20〜30%と言われた意味がだんだんと分かってきた。
しかし、私は100分の20人に入るのはそれほど難しいことではないと思っている。