複数の現場を行き来していると会社に帰ることも多くなった。
自然とオフィスを借りていたグループ会社との接点が増えた。
ある日、私は結婚式二次会に呼ばれた。
会場に大男が二人、颯爽と入ってきた。
グループ会社の先輩だ。
私は挨拶をした。
二人とも先輩だと思っていたが、一人は同い年だった。
私は驚いた。
外見、雰囲気、自信。
どれをとっても、私より上だ。
彼はグループのNo1営業マンだった。
マーケティングを切り口にお客様と信頼を築き、多額の売り上げを上げていた。
「同い年でここまで出来るのか。」
私は今まで感じたことのない劣等感を感じた。
彼は積極的に私を食事に誘ってくれた。
銀座で寿司など食べたことがなかった。
連れていかれるのは、いつも知らない大人の世界。
話す内容は会社の問題点、目指すべき姿、仕事への姿勢、これからのビジョン。
私はSEとして満足している場合ではないと焦った。
「この人に学ぼう。この人に負けない男になろう。」
全てが初体験だった。