闘病生活について2

クリスマスには髪の毛も元に戻った。妻を連れて二人で食事にも行けた。子供たちとも遊べるようになった。

私は長いトンネルを抜けたつもりだった。

年明けに控えたPET-CT(がん細胞の最終検査)を楽観視していた。

しかし、結果は残酷だった。新病変が見つかった。

大量抗ガン剤治療+自家造血幹細胞移植が必要で、最初の病院ではこれ以上の治療は望めないと言われた。

私はセカンドオピニオンを主治医と相談して求めることにした。

都内の権威である三病院を訪ねた。

結果的に、再発と断定するのは未だ早く、転院したうえで放射線治療に取り組むべきとの結論に至った。

私は少し安心した。放射線治療は通院で行えて、副作用が少ないからである。

がん専門の病院で治療を行うことに決めた。

やはり、日進月歩である放射線治療のマシンはがん専門病院の方が投資が進んでいると判断した為だ。

また、症例数も多くデータから治療方針を割り出していた点も信頼できた。

朝の10時に通って3分だけ照射して帰るという生活を21営業日続けた。

放射線治療の標準治療方針として、連続で照射することになっているらしい。

病院の営業日だけというのが、なんとも納得できないが、医学会のお約束らしく、そういうものだと言われた。

先生には恵まれた。個人名は出せないが、世界的な権威だった。

その割に庶民的なコミュニケーションで話がしやすい。親身になって聞いて相談にのってくれた。

先日もコンビニ内でばったり会って雑談したほどである。

放射線治療はとても眠くなる。

照射後30分経つと、睡魔に襲われる。

遺伝子が傷つくので、脳が大ダメージを身体が受けたと解釈するらしい。

プールで2時間泳いだ後のような疲労感である。

だいたい、昼頃に会社からの電話で昼寝から起こされる。

そんな生活を1ヶ月ほどつづけた。

新病変といわれた腫瘍は消滅した。

そして3ヶ月間を空けてPET−CT検査を行うことになった。

今度こそは治ったと思った。

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