病気の発見について

病気の発見は2015年3月だった。

福岡空港で動悸で倒れ、数日後に東京でセミナーを行う。

セミナーでまさかの緊張。

倒れそうになるくらい心拍数が上がったのは生まれて初めての体験だった。

今まで数十回の講演を行ってきたが、そんなことは一度もなかった。

私は体調を疑い、翌日に三井記念病院に足を運んだ。

その他にも咳や首や胸の痛みや夕方の高熱、鬱っぽい感情など身体の乱れを感じていたからだ。

寝汗も酷かった。寝小便をしたかと思うほど寝汗をかいた夜が続いた。

…診断書がなかったので、確か3000円くらい支払ったと思う。

内科の外来で症状を訴えると、疲労が蓄積された人の典型的な症状と言われた。

試しにレントゲンと血液検査を行った。心電図も取ったがこちらは問題なかった。

レントゲンの結果は胸が真っ白。

半年ほど前から咳が止まらなかったが町医者には咳喘息と言われ薬を処方されていた。

大誤診である。

首の痛みは整体院で頚椎ヘルニアの可能性があると言われていた。

全部、胸の腫瘍のせいだった。

血液検査の結果、極度の炎症反応だけが見られた。

膵臓も肝臓も問題ない。

臓器系の指標は至って健康。

しかし、炎症反応はナイフで刺されたレベルと言われた。

「おそらく胸に腫瘍があります。すぐにCTの予約をいれましょう」

腫瘍発見には造影剤を用いるため、喘息の疑いがあった私は副作用を避ける薬を一週間飲んだ。

結果、心臓よりも大きいサイズの腫瘍が前縦隔という場所にみつかった。

肺と心臓の間にあるスペースらしい。11cmの巨大腫瘍だ。

この巨大腫瘍が悪性なわけはない。悪性だったらこんなに元気にしてられないはずだ。

私も家族も友人も誰もが良性の腫瘍と願った。

これが良性か悪性かを調べるには短期入院による検査が必要と言われた。

針生検である。

胸から太い注射針を入れて腫瘍細胞を吸引する手術だ。

部分麻酔を行ってCTスキャンを取りながら行う。

GW前に入院をし、その後の細胞検査までおよそ2週間。

2016年5月2日(土)、がん宣告を受けた。

健康診断は1年ほどまえに行っていた。

しかし、月に1cmの大きさで巨大化する腫瘍は当時1cmレベル。

心臓の陰に隠れてほとんど発見するのは難しかったと言われた。

私は胃腸炎で1年まえにCTスキャンをやっていたのに発見できなかったのである。

少なくとも秋に起きた咳の発作では気がつくべきだった。

後の祭りである。

覚悟

去年の12月にステント手術を行った。胸にある癌が大きくなってきて大静脈を閉塞した。CTスキャンの画像を見た

続きを読む>>

一筋の光

私は諦めの悪い男だ。 オプジーボは前回6分の1量で投与した。それは世界的な事例に基づいた判断だった。今回は

続きを読む>>

暗雲

暗雲が立ち込めた。遂に恐れていた事態が起きた。病気が再発した。 全く腫瘍がないとは思わなかった。しかし、少

続きを読む>>

運試し

最後にオプジーボを投与してから随分時間が経った。1年弱、癌が再発しないで押さえ込まれているのは初めてである

続きを読む>>